シンクのはなし

スレンドラインのステンレスのシンクと、となりの木の食卓に並ぶ食事を真上から見たところ

断面で見る、キッチンの流し フローティング編


sink ── 古英語 sincan「沈む」 / bowl ── 古英語 bolla「鉢・杯」

キッチンの水まわりは「シンク」、洗面所や手洗いは「ボウル」。
同じ水を受ける場所なのに、どうして呼び名が違うのでしょう。

sink は、「沈む」という動詞から来たことばです。
15世紀には汚れた水を溜めておく場所を指し、1560年代になって、排水管のついた浅い水盤、とくに台所のそれを呼ぶようになりました。
日本語の「流し」と同じく、水が去っていく場所の名前です。

bowl は、古い英語で鉢や杯を意味する bolla から来ています。
さらにさかのぼると「ふくらむ」という意味の語にたどりつきます。
液体を入れておく、丸く低い器のことです。

流して、手放す場所がシンク。
受けとめて、ためておく場所がボウル。
ことばの成り立ちをたどると、ふたつの役割の違いが見えてきます。

日本の台所にステンレスの流しが広まったのは、1956年のことです。
公団住宅への納入とともに、プレスで一体に成形する量産が始まりました。
それから70年、流しは台所に欠かせないものとして、あたりまえの景色になりました。

お問い合わせでいちばん多いのも、このシンクの大きさについてのご質問です。
そこで今回から3回に分けて、Brezza のシンクとボウルを断面でお見せします。
最初は、床から浮かせて据える、フローティングの4つのシリーズのシンクです。

ふたつのつくり方

1956 公団住宅への納入とともに、プレス一体成形の量産が始まる

ステンレスのシンクには、ふたつのつくり方があります。
金型で1枚の板を押し出すプレスシンクと、板を曲げ、溶接して形をつくるクラフトシンクです。
Brezza では、プレスシンクはエーレンだけに存在するバリエーションで、それ以外はすべてクラフトシンクです。
クラフトシンクは、シリーズごとに形や寸法を変えられます。今回の4つも、それぞれ違う断面をしています。

フローティングの4つのシンク

ラ・アルコ リゴーレ フライハイトSUS フライハイトSolid

ラ・アルコ

ラ・アルコのシンクと、奥行450・600の断面図
ラ・アルコ|奥行450・600の断面(単位:mm)。画像を押すと大きく表示されます。

カウンターの前面を斜めに落とした、オブジェのようなキッチンです。
シンクも手前を斜めに立ち上げ、縁を15mmまで細くしました。奥行600では、シンクの内寸が570mmになります。

リゴーレ

リゴーレのシンクと、奥行450・600の断面図
リゴーレ|奥行450・600の断面(単位:mm)

装飾を削ぎ、スクエアに研ぎ澄ませた造形です。ブラケットも見せず、壁から天板だけが浮かびます。
シンクも角の立った四角い断面です。

フライハイトSUS

フライハイトSUSのシンクと、奥行450・600の断面図
フライハイトSUS|奥行450・600の断面(単位:mm)

正面から見て20mmの天板は、0.8mmのステンレス板を曲げて成型することで強度を持ちます。
その天板とブラケットだけで組んだキッチンです。
カウンターの下はすべて余白として空けてあり、ワゴンを収めたり、椅子を添えたりできます。

フライハイトSolid

フライハイトSolidのシンクと、奥行450・600の断面図
フライハイトSolid|奥行450・600の断面(単位:mm)

正面から見た厚さは同じ20mm。天板は、厚さ9mmの人工大理石で仕立てました。
しっとりとした素材感が、空間にやわらかく馴染みます。

寸法の一覧

単位:mm

シリーズ 奥行 シンクの内寸(手前〜奥) 深さ
ラ・アルコ 450/600 420/570 120
リゴーレ 450/600 320/470 120
フライハイトSUS 450/600 320/470 180
フライハイトSolid 450/600 317/467 189

シンクの幅は、キッチンの幅によって350〜450mmです。深さは、カウンターの面から底のいちばん深いところまで。

次回は、床に設置するスタンディングタイプのスレンドライン、カンティーノ、エーレンのシンクの話をお届けします。

コンパクトキッチンを見る

参考:Online Etymology Dictionary「sink」「bowl」/柳田・藤谷(2009)日本大学生産工学部 第42回学術講演会